ナイファンチ三段への恐怖

 お蔭様で、アメリカ時間の金曜日、4月9日に行われた国際沖縄空手道・無想会の世界総本部道場で行われた、成人部昇級審査が無事終了しました。

 二日前の水曜日には、これも児童部の昇級審査で、これも無事終了です。

 コロナの影響で中止していた昇級審査です。一年ぶりでしょうか・・・?。


 その影響で、まだ審査を受けるには技術が足りない生徒には、「次回、頑張れ!」っという励ましの言葉をかけて、思いとどまらせ、次回へとパス。そんな生徒が、10名ほど出ました。不合格になるより、この方が本人の為ですから。

 皆ガチンコに近い殴り合いは、久しぶりなのでともかくケガをさせないように、非常に気を使いましたし、マスク着用での審査なので、休息を適時に挟むことには留意しました。


 この二週間ほどは、大変でした。


 YouTube 用の動画の撮影(沖縄同好会代表氏、お世話になりました。多謝!)

 コロナのワクチンの接種と、その副作用。

 道場へのヘイト電話と、その対応。

 二つの、昇級審査。

 その他の雑事、などなど・・・。


 それにも増して、もう一日十二時間ほども道場に釘付け、空手漬けに私をしてしまったのは・・・。

 チャンナンの大・小と平安の初段・二段の関係を完全に解明したことに勢いを得て、今回こそナイファンチを完全に解いてやるという気持ちで、取り掛かった完全解明の試みです。


 月・水の朝の11時から、午後3時までのRS四段との個人稽古では足りず、彼には火曜・金曜日にも、道場に足を運んでもらいました。

 当然、私は早朝から道場に籠り切りです。

 金曜日などは、成人部昇級審査の直前まで、共に試行錯誤していたのです。

 彼は週末には州外へ旅行に出てしまうので、4月24日のオンライン稽古会前には、どうしてもナイファンチを完全に自分のものとする! っという、私の想いに附きあって貰いました。

 感謝しています!


 弊会のナイファンチ初段は、完璧です。二段の部分は、前半はOKです。

 でも後半の部分が、どうしてもRS四段と、私の意見が一致しません。


 実は我々は、形の動作の意味するもの、すなわち機能の部分は、完全に解いているという自負があります。

 ですからナイファンチの形における、彼・我の関係と、その間にある業・技に関しては、余り疑問はありません。


 ここで問題になるのは、ナイファンチの形の構造なのです。

 どのようなカタチで、この形は成り立っていたのか? 少し小難し言えば、形の構造。ブッチャケて言えば、形の動作の順序だと記しても、良いでしょう。


 私・新垣清は、再修業の結果として、孤軍奮闘の果てにナイファンチの初段の形が示す、心身思想・操作を完全に解き明かし、習得し、かつ伝承しました。

 ならば、そのナイファンチの初段だけでは無く、全容を全て、解明し、伝承したい。と思うのは、人間の情でしょう。


 この問題・課題は、近未来においてAIを活用すれば、一瞬で解いてしまう問題かもしれません。


 これって

 一人の人間として・・・。

 一人の空手家として・・・。

 一人の日本人として・・・。

 一人の沖縄のオトコとして・・・。


 私・新垣清の手で・・・。

 人力で・・・。

 人知で・・・。

 解き明かしてみせる!

 っという意地以外の、ナニモノでも無いのです。


 実はナイファンチの三段に関しては、糸洲安恒・師が創作した、あるいは分割した。との口碑があります。二段に関しても、糸洲師創作のハナシもあります。

 が、趣旨を明確にするために、三段は・・・。

 っとして、下記をお読みください。


 では、「ナイファンチの二段と三段の関係」とは・・・。


 ここで下手をすると、「平安の初段と二段」、すなわち、「チャンナンの大と小」との、同じ関係にあるのではないか?

 っと言う危惧が、私にありました。


 実は、ナイファンチの三段とは、ナイファンチ二段の体育・体操化、極端に簡素化された形ではないのか!?

 という、それこそ恐怖とも言える思いです。これは、怖い! です。


 もしそうだとしたら、今まで私がやってきた苦労は水泡に帰すというか、一所懸命に、道化をやっていた! 延々と、一人漫才をやっていた!

 っと揶揄されても仕方が無いほどの、茶番劇だとしも良いでしょう。


 もし、命がけで修行をやって、その結果・・・。

 武運拙く、悟りを得ることは、適わなかった!

 っとなっても、それは修行に入る前から覚悟していた心算で、文句も不満もありません。

 しかし・・・。上記の結論になってしまえば、私には自己憐憫しか残っていません。


 更に、もう一つの疑問とは、二段の後半の動きでは、左右の動きの終わりには、船上から海中に相手を放り投げる動作が、なぜか船の真ん中に敵を呼び込んでしまっています。

 この部分はRS四段と、私の意見がモロに真逆です。

 すると、ここに解決のカギがあるはずなのです。


 ただ 一応、ここまでの過程で・・・。、以前記したナイファンチ三段の、逆向きが欲しい でも明らかなように、ナイファンチの形の全貌の大部分は明らかになってきました。


 更に現存する大部分のナイファンチ初段・二段・三段が、なぜ

 初段⇒

 二段⇒

 三段⇒

 と、同じ方向を向くかの理由も、理解できました。

 答は、近代化の体育・体操にするための変革です。


 本来のナイファンチとは初段から三段まで続く形であるという、私・新垣清の理論のエビデンス・証拠となる、三分割した(された?)形の各々の進む方向(最初の方角)が、

 ⇐初段

 二段⇒

 ⇐三段

 っという、ナイファンチの初段、二段、三段の形の存在も確認しました。


 更に今は未だ憶測の段階ですが、ナイファンチは琉球王国時代には、初段と全伝の二種類の方法で修行された可能性があるとも思っています。


 結末を述べれば・・・。

 全て・・・。RS四段が100%納得するカタチで、そして私も100%の納得度で、ナイファンチが解けました。

 この100%の納得度は、非常に重要で、私の修行の掟としていますが、それも満たしました。


 ここまでで・・・、少し疲れました。

 チョッと休んで・・・。

 あとは下記の直弟子限定・オンライン稽古会で、自分の修行の結果を、直弟子諸氏に伝授するだけです。