無想会空手とは何か? その五 三つの線の認知と活用
さて、このブログは、前回の無想会空手とは何か? その四 ナイファンチの形での純化からの続きです。
武術として伝承された沖縄空手には、体育・体操、スポーツ化を目指して改変された現代空手の形とは、まるで異なるアスペクトがあります。
それらは、多種多様にわたって存在しますが・・・。
一つは身体の構造に対する認識と、もう一つは脳の認知の仕方の両方が違っています。
すなわち形而下の身体と、形而上の脳の認知の両方とも、武術として伝承された沖縄空手の形で学ぶ事柄は、体育・体操、スポーツ化されたそれとは著しく異なっています。
まず、形而上的には、「三つの線」の存在認知が顕著でしょう。
ひとつは、「正中線」です。
これは二本足直立をする人間の身体内を地面から垂直に走る、「前でも、後ろでも無い」、かつ「右でも、左でも無い」位置に存在する線です。
この線の存在認識と、その活用は武術としての空手を理解し、習得するためには必要不可欠です。
次が、「天地線」の存在認知とその活用です。
この線は、上記の「正中線」が地面と垂直に走っているように、自分の身体内で地面と平行して「水平に走り」ます。これは「上でも、下でも無い」位置に存在する線として、捉えても良いでしょう。
最後が、「演武線」の存在認知とその活用です。
この線は自分の正中線と、対峙する相手の正中線を結ぶ直線です。
武術として伝承された沖縄空手の形は、この演武線の存在無しには、無益です。そのような形は、戦いの術を学ぶのに値しません。
弊会においては、この「正中線」、「天地線」、そして「演武線」の存在認識と活用を、徹底的に教授して、会得させます。
体育・体操、スポーツ化された形は、対峙する相手の存在が明確では無い。あるいは相手が存在しないために・・・。この三つの線の存在が必要無く、そのためにこの三つの線は存在しません。
余談ですが・・・。今回の5月、6月の日本セミナーで伝授する「ごじゅうしほ(五十四歩)」の形を完全解明する際に、この形を演じる個人、流会派の別なく、すべてと言って良いほどに、演武線の存在が無いことに、唖然としてしまいました(文責・筆者)。
もしこのブログをお読みの方で、自流派の「ごじゅうしほ」、「五十四歩」、「ウセーシ」、「スーシホ」などと呼称される形を習得なされ、その動作や演武線の存在などに疑問をお持ちの方は、セミナーにご参加ください。
さらに、この三つの線の説明だけで、本一冊軽く書けるはずですが・・・。本ブログでは省略します。
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