片足上げて、立てないよ!

 もう昔のハナシになってしまいますが・・・。

 実は、私・・・、中年になっての再修業の五年目辺りを迎えると・・・。

片足で、立てなくなっていました。


 さらに、両足でも立つことが、非常に苦痛になってしまっていました。

 まあ、夏などは少しはOKだったのですが・・・。寒いユタ州の冬に、道場で裸足でナイファンチの形を、延々と数限り無く、繰り返し行ったお蔭で・・・。

 両足の裏の筋肉が、それこそ使用過多となってしまって、5分ほども立つと、非常に鋭い痛みを感じるようになっていたのです。

 まるで、足裏にナイフを刺されるような感触でした。


 余りのナイファンチの形のやりすぎで、足の土踏まずの部分の筋肉が、太くなると同時に、疲弊してしまって、一時的ですが、偏平足にさえなってしまいました。


 道場は、自分の修行だけやっていたお蔭で、生徒が皆無な状態で金が無く、医者に行くことも適わず(米国は、医療費が高いしね!)・・・。

 これは、痛かったです!


 それと平行して、ナイファンチの修行によって、片足で長時間立つということが、不可能になってしまったのです。

 なぜか?

 その頃になると、自分の身体が、ナイファンチの要求する、心身操作を、ある程度、マスターしてしまったからです。

 すなわち、通常の人間が片足をあげた時に行う、不安的の状態から、軸足に全ての体重を移して、自動的に安定の状態へ移行するという動作を・・・。


 私の場合には、修行の果てに、そのまま、上げた脚に重さを残し立つ!っという軸足の無い状態こそが、通常の状態となってしまったのです。

 まぁ~、ナイファンチの修行としては、本望ですが・・・。


 この状態では、長時間、片足で立つことは不可能です。

 ですから・・・。

 道場での準備運動で、片足を上げて、その上げた脚の膝を回す。などの運動をすると、倒れそうになってしまったのです。


 今から思えば、ナンだか笑い話のような事ですが、これには、困りました・・・。

 自分で、この症状(?)の出た初期の頃には、修行のやりすぎで、完全に身体を壊してしまったな!?っと、悩みもしました。


 他にも色々と修行の無理が祟って、指、手首、肘、肩、膝、そして腰などと、それこそ身体の各部分(全て?)に障害が出てきていたので、ある意味、

これは、もう仕方が無い。

これでナイファンチの極意を掴めれば、儲けものだ!っとの、諦めもありました。


 その後に、幸いにもナイファンチの極意を大悟した後で、集中的な修行を終えて・・・。

 少しづつ、身体が回復していきましが・・・。

 その後も、やはり、片足を上げると、安定が取れません。

 どうしても、上げた脚に重さが入ってしまい、軸足の存在が無く、上げた脚の方向に倒れてしまうのです。

 もう、ショウガナイので、上体部を思い切り、上げた脚の反対側に倒して、片足で立つという始末です。

 でも・・・、自分の身体の障害との引き換えに、ナイファンチの極意を掴めたのだから、「文句は、言えん!」 っという思いはありました。


 しかし、ある時・・・。

 これって・・・。

 ヒョッとすると、身体の障害というよりは・・・。

脳の判断が、違ってしまった結果では無いか?と、思い至りました。


 すなわち、五年間の徹底的なナイファンチの修行による、身体の故障からくる障害では無く・・・。

 片足を上げるという動作の際の、脳の情報処理が、まったく違う方法で行われるようになったのではないか? っと思い始めたのです。

 この稿、続きます。

国際沖縄空手道 無想会 International Okinawa Karate-do Muso-kai