日本は隠す！

　松村のクーシャンクーの完全解明において、「四方クーシャンクー」、「北谷屋良クーシャンクー」、そしていわゆる「松村系統のクーシャンクー」を軸に、他の系列のクーシャンクーも入れて修行しています。

　わたくしは、沖縄での修行時代に「四方」を除く、上記二つの系列のクーシャンクーを学んでいます。っとは言っても、「訳は分からん？？」っということで、形の意味などはまるで理解していませんでしたが・・・。これは、他の空手修行者も同様だと思います。

　本ブログをお読みの読者は、ご存知かもしれませんが・・・。この「クーシャンクー」を、完全に理解する。いわゆる、完全解明に関して、以前わたくしは取り組んで頓挫しています。

　今回は、「五十四歩（ごじゅしほ）」の形の完全解明を果たした余勢をかって、「クーシャンクー」の完全解明に再び挑みました。

　その結果は、もう大変というか、上記の三つの系統の流れの時間軸、機能、様式が交差しており、それこそ乱麻状態。

　明治以後の空手家で、「形を使える」。すなわち、武術としての形を理解していた人間は皆無であった！　っという認識を、新たにしてしまいました（哀しいことです！）。

　しかし・・・。しかしですよ。余りにも、ヒドイ有様なのです。

　ダーレも、ナンにも分かっていなかった！　っというのは明らかなのですが・・・。それ以上に、自分が、あるいは自らの流会派が、

「分かっていない」ことさえも、「分かっていない」

のです。

　ですから、形において、いかにも大仰に思わせぶりに演じ、さもナニかがあるように、時間を取り、顔を作るのです。これは、オリンピックを頂点とするスポーツ空手の形だけでは無く、いわゆる伝統流派と言われる流会派のクーシャンクーも、同様でした。

　「もう、いいよ！、十分です！」っという思いです。

　正直な思いを吐き出しますが・・・。

　わたくしは、形を、使いたいのです。形を、理解したいのです。その想いで、人生の全てをかけて再修業に挑み、いまも修行を続けているのです。

　確かに、いままで形を伝承してくれたことに関しては、感謝しても、し足りないほどの感謝の念はあります。

　しかし、これでは「アジア的停滞」の最たるもの・・・。

　「イワシの頭も信心から・・・」であり、富永仲基がいう、東洋文明の三大地域における「くせ」である・・・、

　インドは「空想的・神秘的」、中国は「誇張」。そして我が日本は「隠す」の、記するが如き、そのままです。

　なぜ、「アジア的停滞」が起こるのか？　それは上記の「神秘、誇張、隠匿」が、われわれの文化の根源的な部分に、存在するからなのかもしれません。

　私見として東洋医学（いわゆる漢方）、そして東洋武術が、「アジア的停滞」の最も顕著な二つだと思っています。

　我が日本国の文化においては、「秘すれば花」のごとく、イワシの頭も隠して拝めば、神聖なものとなってしまうのです。

　わたくしは「イワシ教」の信者として、空手を修行する心算も・・・。さらに「イワシ教」の宣教師として、伝道する気持ちも毛頭ありません。

　ただ、幸いなことに・・・。日本剣術という当時のもっとも優れた心身思想・操作と、伝承形式を持っていた武術を学んでいた松村宗昆という人物が、沖縄の空手界に存在していました。

　三種類とその他のクーシャンクーの研究課程で、上記の「アジア的停滞」の存在をまざまざと知らされた今・・・・。

　松村宗昆がその心身思想・操作で改変した、松村の「クーシャンク―」さえ、心身思想・操作として人間の動きの極限を究めていたであるのならば・・・。

　それで、わたくしは「良しと、するのだ！」っと思っています。

　さらにこれは、国際沖縄空手道・無想会の日本国内の弟子たちの、思いでもあるはずです。

　再び幸いなことに、松村のナイファンチ（内帆船・南方拳）、パッサイ（八十一戦）、ごじゅうしほ（五十四歩）、そして松村と同様な心身思想であった松茂良興作のローハイ（羅漢）。の四つの形は「イワシの頭」ではありませんでした。チャンナン（江南）の形も、「イワシ教」ではありません！

　今回、完全解明に再チャレンジしている、松村の「クーシャンクー」も、同様であって欲しいと切望しています。

　「仏に逢うては仏を殺し。祖に逢うては祖を殺し。羅漢に逢うては羅漢を殺し。父母に逢うては父母を殺し。親眷に逢うては親眷を殺し」っというものが本来の修行であるのならば、わたくし如き凡人には少しキツイ！　っというのが本音です。

　しかし、ここまで一応はこれたのです。

　もうこうなったら、松村宗昆とガチンコ勝負して散る覚悟で、進んで行く以外に道はありません。

　嗚呼～、しんどいよ～。怖いよ～！