空手の形には、「統一理論」が存在する!

 前回の「受けは意味を為さない」は、間違いだ。からの続きです。

 武術として伝承された空手の形において、「受けは、意味を為さない」のでは無い。

 「受け」とされていた動作は、本来は受け技では無いのだ! 

 っという、驚愕する事実(?)に気づいてしまった、わたくし・新垣清です。

 天動説が、地動説に代わってしまうような、それこそ天地が逆になるような、「晴天の霹靂」とも言える衝撃です。

 でもその頃には、「己に遭えば己を殺す」の境地までたどり着かなければ、ホントウの修行には為らないという、想い(まあ、一種開き直り)は確立していましたので・・・。

 「ならば、この『確固とした法則』で、行けるところまで行ってみよう!」っと、ナイファンチの稽古を続けます。

 相手の身体(≒頭部)を横に払って、自分の反対側の拳で突く。ここまでは、OK。 

 そして、自分は相手の身体(頭部)を抑えながら、横に歩く。これも、OKです。

 しかし、問題は、次なる動作です。

 例の中段の受けをした後で、片方の手で中段、もう一方の手で下段を払うような、連続動作のことです。

 もうこの段階では、これらの動作は「受け技では無い!」っと理解していましたが、ならば「一体これは、ナンジャラホイ!」っという疑問は、依然残っているのです。

 さらに、この一連の動きは、平安三段の初動の動きと同じなんですよ。

 この一連の動作は、前方を向いて行うのですが・・・。ならば、相手は前方にいるのか?

 でも・・・・。それ以前の動作で、下方に払って突きを入れた相手(敵)は、「一体、どうなるの?」。「都合よく、無視して良いの?」。 

 自分の都合で動けるならば、それは芝居や映画の殺陣と同じです。しかし、「武術としての空手の形って、そんなモンなの?」。

 毎日・毎日、形を繰り返し、試行錯誤・・・。もう考える毎に、浅才の身故に、脳がのたうち回っているような有様です。

 唯一分かっているのは、「ダーレも、ダーレも助けてはくれないよ!」っということです。自分を灯にして、歩いて出口まで到達する以外に、この真っ暗闇から逃れられないだ! っということは分かっていました。

 その答えが何時、どのようにして沸いてきたのか。今となっては全く覚えていません。

 でもある時に、「アッ! この動作は、持っていた相手の頭を上に一度引き上げて、その後に下に降ろすと同時に、逆の手で下から突き上げているのだ!」っと分かりました。

 そのズーと後に、一心流の創始者である島袋龍夫師の動画では、この部分がビビットに肘上げ打ちになっているのを確認して、「さも有りなん!」っと納得しました。

 余談ですが・・・。後々になってわたくしが、平安初段・二段・三段・五段の形シリーズがすべて繋がると理解して・・・。平安の形の原型である、「チャンナン(江南)」の形を再構築することが可能になりました。

 それは、このナイファンチのこの部分の動作と、平安三段の初動が同じであり、「それならば、平安三段も、途中から始まっているのだ!」っと気づいたからです。

 なお、平安初段と二段の連結は、すでにその段階で解消積みだったはずです(これも、ウル憶え)。

 どうやら漫然としてしか理解していなかった、「確固とした法則」が徐々にではありますが・・・。鮮明に、その姿をわたくしの前に表し始めているのです。

 しかし、この時点では、「この『確固たる法則』が首里手、古流・那覇手(含・新興・那覇手)、そして泊手の形の全てに当てはまる、

『統一理論』

である!」。っということには、まだ気づくことは出来ませんでした。

 さらに、この「統一理論」があるが故に、琉球王国時代の沖縄の異なる地域で修行された形は、すべて体系立った教授方法を持つ源流があるのだ! 

 っという、従来からの空手の歴史を、一変させる理論の拠り所となることなどに、気づくはずがありませんでした。

 さらに・・・、さらにです。

 この「統一理論」の存在の認知によって、わたくし・新垣清は、「中国歴代王朝の軍隊における、徒手格闘術の軍事教練が、中国国内において民間に流れて、世俗拳法が創設された際に、雑多な思想が入ると同時に、この「統一理論」は失われてしまったのである!」っという、驚愕すべき推察(結論?)にたどり着くことになるのです。

 すなわち、武術として伝承された沖縄空手の形とは、現存の空手の形の「対象の純化」を果たせなければ、その本来の姿を現すことは無く、その「純化」無しには、武術としての修行は不可能なのだ。

 と同じこと、すなわち、

中国拳法の套路(≒空手の形)にも、

武術的な「純化」が必要である。

 と言えるのではないか? っという驚くべき疑問が沸いてくる根拠が、出来上がってしまったのです。

 この稿、続きます。

国際沖縄空手道 無想会 International Okinawa Karate-do Muso-kai