山が0.0001ミリ動いた
国際沖縄空手道・無想会の世界総本部道場では、来る日本縦断セミナーに備えて、わたくしは天手古舞しています。
その錬手古舞の理由の一つが、一か月も道場を留守にする間に、如何にして黒帯の連中を上達させるか? です。
そのために、個々人にあった課題を与えなければなりません。
その事と関連しますが・・・。
じつは世界総本部道場の二段の黒帯が、飛躍的な上達をして、いま日本で指導している、B四段の動きに迫るまでのレベルにいます。
飛躍的上達と言うよりは、ある意味「小悟」したと言っても良いでしょう。
この二段の人物は、歳はB四段と同年配。高校時代は、プロのサッカー選手を夢見ていていたほど・・・。大学で化学関連事項を教えており、そのために理詰めで論理的に考えられる人間です。
さらに、日本の空手の四大流会派のうちの、二つを学んだ人間です。それも形の解釈に疑問を持って、日本空手の一つの流会派から他に変更したというほどの、若いながらも将来性を感じさせる人間です。
そしてある意味、上記の理由から、「武術として伝承された沖縄空手」の心身思想・動作から、一番ほど遠い人間でもあります。
すなわち重力に反する、あるいは重力の存在を無視する、スポーツの心身操作が身についてしまった。
理詰めで考えて納得した上で、二番目の日本空手の流会派を学び、その形や組手でも割合良いところまで行ったので、弊会の心身思想・操作を学んだ際に、それとスグ比較してしまう。
さらに、大学で教えているために、「problem solving(プロブレム・ソルビング)」などに長けてしまっているという塩梅です。
正直に誤解を恐れずに記しますが・・・、じつは、このような思考方法は、武術においては時として害になる場合が多いのです(理由は長くなるので割愛)。
さらに大学が忙しいために、道場で稽古する時間も限られています。
そのために体力(片手懸垂なども軽々とこなします)と、知力で二段までは習得しましたが・・・。他の二段の連中と同様に、その後に聳える壁を乗り越えることができませんでした。
指導しているわたくしも、ナニか彼を教える度に、隔靴搔痒の気持ちが常にあり・・。かつ彼も、「ドウも、ナンか一つ分切れない」っという想いが、あったはずです。
その彼が、小悟しました。
いま、「ごじゅうしほ(五十四歩)」の形を教授していますが・・・。
動作を加速せずに、一番早く形を終わらせることができます。すり足では無く、滑るように歩行が出来、すべての動作が歩く動作のままで、業・技に為って行っています。
俗に言う、濡れた和紙の上で業・技を出しても、和紙が割けないレベルの、心身操作です(まあ、ホントに出来るかどうかは別だけど・・・)。少なくとも、指導しているわたくしが、「これは、見事だ!」っと思えるレベルです(まあ、彼には言わないけどね)。
これだけの動きが出来るのは、いままでのところ上記のB四段だけであり、他の人間は空手界には存在しませんでした。少なくとも、わたくしは観た事がありません。だって、心身思想・操作が、まるで異なるのですから、仕方がありませんもの・・・。
この二段の彼の、さらに特筆すべきは・・・。その形の動作のまま組手をしてますが(当たり前ですね。だって、それが形の存在理由なのですから・・・)、対峙する人間がまるで相手になりません。
じつは、B四段を指導した後に、他の黒帯が彼のレベルに到達できず、やはりB四段には、半分は沖縄人の血が入っているからこそ出来るのであり、他の(心身)文化の人間たちには無理か!? っとわたくし自身が想い(悩み)・・・。そして、弟子たちも漫然とながらも、思っていたはずです。
それがコテコテの白人のアメリカ人二段の弟子が、初めてその壁を打ち破ってくれました。
普遍性ということで、卓越した
武術として伝承された沖縄空手の心身思想・操作
とは、
人類共通のものである!
っという想いを強くしました。
まあ、わたくし・新垣清や猿(サル)でも出来るのですから・・・。人類すべてが出来て、当たり前なはずですよね!
でも、さすがに嬉しいですし・・・。感謝しています。
指導者として、一つ自信がつきました。
あとはこのレベルの人間を世界総本部道場で、7、8名。そして日本全国で2,30名を育て上げれば、山が少しは動くかもしれません。
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