「正中線」、そして「演武線」とは何か?

 「武士・松村」こと、松村宗昆の創作したとされる「ごじゅうしほ(五十四歩)」の形の事柄に関して、特に形の中に含有される「演武線」の認識と、その活用に関して記しています。

 この稿、非常に重要で、長くなる可能性もあるので、ここで少し整理します。

 なお、文章は日本国内の弟子諸氏を対象にして、彼らの理解を深めるために記していますので、一般の読者には「???」の部分が多々あるかもしれませんが・・・。

 そのような場合には、「所詮、本ブログを記している筆者・新垣清自身が、本当は『ナニがナンだか、よう分からん』はずである!」っと思って、読み進んでください。

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 国際沖縄空手道・無想会の弟子諸氏は、身体内を貫く「正中線」の存在を明確に理解し、かつそれを活用せねばならない! っと理解なされています。

 この、「正中線」とはナニか? っと疑問を持つ方は、拙著「沖縄武道空手の極意」を、お読みください。

 この「正中線」と呼ばれる線は、身体には物理的には存在しません。しかし日本武道、武術として伝承された沖縄空手においては、必要不可欠なものであり・・・。

 形而上的な概念以上に、物理的にも・・・。ある種、身体内における「壁の役割」を持つものでもあります。

 この正中線の存在によって、日本武道、そして武術として伝承された沖縄空手は、自分の身体において「相互否定」、そして「相互相関・相互浸透」を可能にします。

 ですから・・・。日本武道、武術としての沖縄空手には、「身全体を固める」、「脱力する」などという概念や、身体操作は存在しません。

 なぜなら、それらの概念と身体操作の行きつく先は、「全身運動」っとなってしまい、非常に遅く、弱く、効率が悪いからです。

 この「壁の役割」をも果たす「正中線」は、動きません。「動かせない!」のです。

 ですから、相手がどんなに早く、速く動いているとしても・・・。

 この「相手の正中線」にロック・オン、すなわち標的を定めてしまえば、理論的には相手は動いていない! っという状態をも作り出すことも可能なのです。

 すなわち、自分の動かない「正中線」を、相手の動かせない「正中線」に、ロック・オン(標的を定める)させる。その両者の正中線を結ぶ直線が、「演武線」と呼ばれるものである!

 っということです。

 ブッチャケて言えば・・・。

 「正中線」は、身体内における、形而上の概念である。しかし、それと同時に、身体内において、物理的役割を果たし得る存在である。

 っとなります。

 

 しかし、その反面・・・。自分の「正中線」を、相手の「正中線」と結ぶ「演武線」とは、空間における概念のみとして存在する。っと、端的に述べることが可能です。

 すなわち、「空間」に「概念」としてのみが存在するのですから・・・。当然のごとく、物理的には、ナニモノも存在し得ない!のです。

 この稿、続きます。

国際沖縄空手道 無想会 International Okinawa Karate-do Muso-kai