ナイファンチは全伝以外は、無意味だよ!

 国際沖縄空手道・無想会の制定七形のうち「セイシャン・十三歩」、「ゴジュウシホ・五十四歩」、そして「パッサイ・八十一戦」は、「武士・松村」こと、松村宗昆の形です。

 そして「ローハイ・羅漢」の形は、泊の「武士・松茂良」こと、松茂良興作の形です。

 この二人は、その身体操作が同様であったとの「本部の猿」こと、本部朝基が述べていますが・・・。もう一人、佐久間も同様な身体操作であったようです。この三者が「武術的に、正しい心身思想が出来ていた!」 っということなのでしょう。

 そして上記の四つの形は形の中の動作(技) がすべて、「夫婦手・メオトデ」になっています。

 次回の国際沖縄空手道・無想会の「日本縦断セミナー」で解説・伝授する予定の、「クーシャンクー・公総菅」の形も、形の中の動作(技) がすべて、「夫婦手・メオトデ」です。

 まぁ~、泊手の「羅漢・ローハイ」の形以外は、すべて松村宗昆の手なので、当たり前と言えば当たり前ですが・・・。

 問題になるのは、次に挙げる「ナイファンチ・内帆船または南方拳」の形は、筆者・新垣清は、1800年に来琉した中国清王朝軍の緑営(リョクエイ)(漢人部隊) 水師(海軍) の士官が伝えたもの(であって欲しい!) っと思っている形なので・・・。

 いかに武士・松村とは言え、そう簡単に我が手で改良出来るものでは無かったはずです。

 これは上記の「クーシャンクー・公総菅」の形にも言えることで・・・松村が誕生する100年前後に、すでに沖縄で広まっていたので・・・。彼が改良した部分は、非常に僅かなものでしかありません。

 しかし、上記五つの形は、すべて中国拳法(正確には軍事教練) の形を沖縄の武士たちが、自らの心身文化によって変革したもあり・・・。それに統一理論が存在するのは、当然と言えば当然なのです。

 では・・・。

ナイファンチに、その空手の統一理論が、当てはまるのか?

 あるいは・・・。純粋中国拳法(軍事教練)の姿を維持していたと思われる「ナイファンチ・内帆船または南方拳」の形は、他の沖縄の形とは異なる、独自の理論で形が構成されているのか?

 それはわたくし自身において、大いなる謎であり、かつ自分自身の手で、解明しなければ為らない課題でした。

 前回のブログで、 形の終始の場所が同じ。

 形の中に、前後・左右・上下の演武線が、存在。

 身体操作において、自分の身体内に正中線が存在し、かつ天地線(新垣清・造語) が存在する。

 さらに敵と自分の相対関係もおいても、相手を開始点の後ろに置かない・・・。

などなどと記しました。

 以上の統一理論から検証するに・・・。

 横移動のみのナイファンチの形は、前後の演武線を移動しない。っという以外は、

すべて統一理論、そのものなのです。

 まぁ~前後の演武線を移動しないために、当然のことながら、相手は自分の後ろに存在することはありませんしね。

 では、ナイファンチの形の中にある動作(技) は、すべて「夫婦手・メオトデ」と、なっているのか?

 これは、最大の課題であり、わたくし自身の武術として伝承された沖縄空手の修行にとっても、非常に大きな影響を与えるものでした。

 その時に一番、役に立ったのがナイファンチ全伝の存在です。

 もう弊会の会員諸氏で、黒帯・茶色帯のクラスになれば・・・。

ナイファンチとは、全伝以外に意味を成さない!

と、理解されているはずです。

 これは、当たり前と言えば、当たり前のハナシではあるのです。だって・・・、全ての形においても、そうでしょうが・・・!?

 なぜなら・・・、ナイファンチ初段・二段・三段とは、上記のナイファンチ(全伝) を、近代化に即するために、鉈って大雑把にぶった切ったもので・・・、

武術的にはまるで意味を成さないものであり、却ってぶった切ってしまった故の、弊害の方が大きいのだ!!

っとも、そろそろ感じられているはずです。

 まぁ~、ナイファンチ初段で、心身操作を学べるので、そこはプラスですが・・・。ブッチャケテ言ってしまえば、どんな形でも、武術としての心身思想を持って学べば・・・。心身操作は、自ずから学べますからね・・・! 

 ですから・・・。この形は初心者への指導段階のみで、OKなのです(とは言っても、習得するのに大変だし、最後に超単純化して戻ってくるところが、武術修行の面白さでもありますが・・・) 。

 この稿、続きます。